第7章 寵愛(ティキ)
「……どこここ…」
目を開けると明るいグレーの天井が見える。
どう見ても教団じゃない。
顔を横に向ける。
イケメンが寝ている。
うん、夢かな。
二度寝をかまそうと布団を引き寄せたところで、隣の男が目を覚ます気配を感じ取れた。夢だよね?まって。
「…………起きたのか…?」
夢じゃないかもしれない。
よし、逃げよう。
「気のせいです!」
ガバッと布団から這い出し窓から外へ飛び出す。
つもりだった。
「ぐっ!」
現実は体を起き上がらせたところで顔面から布団に落ちた。
ウソでしょ…身体がやけに重い…
「何してんだ。無理すんなよ。」
男に仰向けに寝かせられ、優しく布団がかけられる。
「俺のことわかるか?」
甘い、低い良い声で尋ねられ、そこでようやく男の顔をちゃんと見る。
あ
「もしかして、森で気絶してたりした…?」
「その節はどうも。」
詳しく話したいんだけど、いいかな?と男が前髪をかきあげて尋ねる。
そのひたいには十字の聖痕がクッキリと刻まれていた。
「あちゃー」
やっぱりノアだったか。