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そうして君に落ちるまで

第1章 距離感調節中(リンク)










「皆さーん!おやつ持ってきましたよ〜〜!」

科学班のラボをウォーカーが手をブンブン振りながら闊歩する。作ったのは私なのだが?



数分前ーーー

「うーん。疲れにはやっぱ糖分ですよね。というわけでリンク、なんか作ってください。」

「君、結構横暴ですよね。」



そんなこんなでせがまれ、渋々私が作ったのだが(スイーツ作りは嫌いではないし)、できた端から試食といってウォーカーがつまむので、三分の一ほど減っている。

「あああアレンんん!!!」

「やったーー!!」

歓喜が上がり休憩だ!!!と騒めく科学班。
ぞろぞろと集まるその中、彼女の姿は見当たらない。

この男だらけの中、小さいから見えないのだろうか?
来る前になくならなければいいが…


そんなことを思っていたら、少し人が引いたあたりで、ザワザワと数人が近づいてくる。


「良かったな沙優、噂のハワードさんだ…ぐっ」

「うわ…肘…」


茶化してくる同僚に、真顔で思いっきり肘を入れた彼女は目の前まで来ると、一転、ふわりとこちらへ微笑んでくる。

「アレン、リンクさんありがとう。」

「リンクさん?ハワードさんじゃないのか?」

「お前らいい加減にしろよ。」

懲りずに茶化してくる同僚をギッ睨む彼女は科学班班長に肩を捕まれ、そいつから引き離される。

「ブールドネージュ!私大好きなんです。ありがとうございます!!」

「そうでしたか。」

量が沢山できるものを、と思って作ったのだが、子供のように目を輝かせる彼女を見て、これにして良かったと思う。思うのだが、何かが腑に落ちない。

「これ何個もらっていいんだ?」

「3個か4個くらい大丈夫ですよ。ね、リンク。」

「君がつまみ食いしなければもう少しあったんですけどね。」


じゃあ、と科学班班長が紙コップに手を伸ばし、肩を抱いたままの彼女にもそれを渡す。それを受け取った彼女がブールドネージュを自分と、その肩を抱く彼の紙コップへと入れていく。

流れるように、当たり前のようにしている2人をつい見つめてしまった。



「…リーバーさん、いつまで沙優さんの肩掴んでるんですか?」




…ウォーカーには後で好きなものを作ってやろうと思う。





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