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そうして君に落ちるまで

第3章 まずは触れてから考えよう(コムイ)





「この体勢疲れるから変えてもいい?」

「いいですよ。」



正直、室長が腰を曲げてくれているから背伸びはしていないが結構きつい。

ゆっくりと互いの腕がゆるまり、くっついていた体に隙間ができる。


ああ、だめだ。

離れると余計にわかる。
くっつきたい。触れていたい。


視線が交われば、どちらともなく、ゆっくりと顔が近づき、そのまま唇を重ねた。

1秒、優しく触れあって、離れたかと思えばすぐに二度目のキスをされる。

何度も何度も、優しく柔らかな感触が触れては離れ、次第に合わせる時間は長くなっていく。


大きな手でそっと後頭部を支えられると、腰に回された手がより締まると同時にぬるりと舌が入ってきた。

慣れないような、それでも、ひたすらに絡められるぬるぬるとした感触に、自分の全思考が舌の先に集められてるかのように感じる。

「…っ」

突然、口の上の甲を舐められると、ゾワリとしたそれに思わず顔を離してしまい、そのまま白い肩に顔を埋める。

「…っごめん…」

違う。違うんです。謝らないで。
小さく首を振れば、愛おしそうに髪を撫でられた。

ああ、ダメだこれ。
クセになってしまう。

誰かの腕に、こんな風に抱かれるなんて久々で、お互いの呼吸のリズムの心地よさ、包まれる優しい圧に言いようのない愛しさがこみ上げる。その感覚をひたすらに求め合う気持ちは同じようで、室長も離れる気は少しもないらしい。



「…困ったね…」

「…本当に、どうしましょうね。」

離れたくない。
いや、もうそれどころじゃない。

触れてほしい。
撫でてほしい。

もっと、もっと色んなところを
好きなように

はしたないのはわかってるけど、一度こみ上げた欲はとめどなく溢れ、収まる気配がしない。



視線が合わさり、再びお互いの顔がゆっくりと近づく。









その時だった。






「神田!!まて!!あっ!!!」

「えっ」


今まで完全に2人っきりの静かな世界にいたのに、班長の声が聞こえたかと思えば突然ドォン!と大きな音を立てて壁が崩れる。


「室長!!沙優!大丈夫か?!」

「ゲホッ…僕らは大丈夫だけど…ドアが…」

「お前らのさっきの爆発よりマシだろ。外まで聞こえたぞ。」

「だからってお前な…」







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