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そうして君に落ちるまで

第3章 まずは触れてから考えよう(コムイ)








とは思ったものの、不思議なもんでそううまくはいかないようだ。

食堂で朝食を食べてラボへ向かう道すがら、バッタリと室長に会ってしまった。


「あ、おは…」
「いやー沙優くんおはよー!昨日はごめんね〜!やっぱり疲れてたみたい!!」

「えっ、あ、はぁ…」

挨拶をしようとすればてへっ!☆と頭をかきながら軽い調子で謝ってくる。気まずくなりたくないという精一杯の意思表示なのだろう。

まぁ、私も気まずくなるのはアレだし、本当に室長疲れてたんだろうし仕方な…

「だからリナリーには言わないで!!ね?」

このとーりっ!と頭をさげる室長に今さっきまで許しかけていたのが撤回された。

ああそうですか
そうですよね
私と気まずく云々じゃなくて、リナリーに知られたくないんですね。

「わかりました。」

「本当?!」

「ええ。なんで、お盛んなら今後は別の人に絡んでくださいっ!」

「えっあっ」


ラボの目の前で良かった。

大人気なく室長にあっかんべーをしたところで目の前でラボの扉を力任せに閉める。

ざわざわと周りに機嫌悪いなーと言われるが、答える気にもなれないので、無視して書面に向かおうとする、が、どうも腹の虫が収まらない。

自分でも何でこんなにイラついてるのかわからない。

でも、やっぱり室長は男女の区別などつけていなかったのだ。いや、つけてはいたけど、強いていうかならリナリーとそれ以外の女?みたいな?

女なら誰でも良かったのか…

なんで、なんであの場に居合わせてしまったんだろうか。なんで別に好きでもないのにこんなにあの人の為にモヤモヤしているんだろうか。



…………別に好きじゃないよね?


自問して、ハッキリ否定できない自分に余計に腹がたつ。

私もだ。
私もその程度でコロッと絆される奴だったのか。


「ああーーーっ!もうっ!!!飲み物とってきます!!!」

バンッ!と机を叩いて立ち上がり、ドアを開けば、そこには勢いよく開いた扉に慄く室長がいた。

ってかまだそこにいたんかい!

「突っ立ってないで早く仕事してください!!!」

「はいっ…!」


勢いのままに室長に喝を入れて部屋を後にする。

落ち着いて、再び部屋に戻る時、少し気まずくて躊躇したのは言うまでもない。








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