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そうして君に落ちるまで

第2章 ifの願い(コムイ)●










第一印象は良い匂いのする人と言ったところだろうか。



クセであろう巻き毛の黒髪に優しい表情のその人はまたお店に来てくれた。

「こんにちは沙優。この間はありがとう。妹、すごく喜んでくれたよ。」

「いらっしゃいコムイさん。それは良かった。」


花を買った彼は、妹と鉢植えを買いに行ったり、妹と周りの人と一緒に世話をしているようだ。


「花の周りにみんな集まってね。そこで楽しそうに話をしているよ。本当にありがとう。」

「いいえ。喜んでいただけてよかったです。」


優しく笑う彼は本当に良いお兄さんなんだろうなと思う。喜んでもらえてよかった…。


その後は彼が普段使うためのペンを一緒に選んだ。

談笑しながらだったため、コレにしよう。と決定する頃には1時間が経っていて、それに気づいた彼の顔はサーっと青ざめる。

「あーヤバイ。リーバーくんに怒られるな。沙優もゴメンね、こんなにつき合わせちゃって。」

「いいえ、楽しかったです。お仕事頑張って。」

手を振り別れる彼は先日と変わらず良い匂いがした。

様子を見るに職場でも人望があり、大きな役職にいるのだろう。

それとは関係なくに彼自身にどこか惹きつけられている自分がいた。自分の中に芽生えそうになるこの感情を、抑えきれなくなる時を想像し、首を横に振る。



「私も仕事仕事!あーもう今日の夕食どうしよう。」


腕を上げ、伸びをすると、少し楽になった。





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