第5章 言えなかった
落ち込むわたしを更に追い込むかのような出来事も起きた。
それは、わたしが移動教室だから、と音楽室に移動してる時。
「ねぇ、碧央くん!今日の放課後、勉強教えてくれない?」
「ん?ああ、生徒会の仕事が終わればな」
『っ…………!』
なんで?
どうして?
わたしよりも彼女の方を優先させるの?
わたしとは一緒に帰れないのに、彼女は時間ができたら一緒に勉強するんだ?
うわ、わたし自己中……。
「美祢………!」
目、合っちゃったし……。
『っ………!』
「待て、美祢っ!」
わたしは会長の声に振り向かず、音楽室へと走った。