第5章 言えなかった
最終的にわたしも有馬よ両頬をつねる。
「ひゃ、ひゃめろよ!」
『あひゃひゃひゃ!変なかおー!』
まあ、わたしの笑い方も大分変だったとは自覚してるけどね。
「あの……美祢ちゃん……」
『ふえ?』
クラスの女の子が少し申し訳なさそうに、馬鹿なことしてるわたしの肩をそっと叩いた。
そこでやっと有馬の手から開放される。
赤くなっているであろう頬をさすりながら、その子へと向き直る。
『それで?どうしたの?』
「会長が………」
女の子が教室のドアを振り返りながら、要件を口にする。
でも、そこに会長の姿はなかった。
『いないよ?』
「あ、あれ?さっきまでいたのに……。てっきり、美祢ちゃんに会いに来たんだと思ってた」
『会長が?珍しいね』
わたし達のやり取りを聞いていた有馬が会話に入ってくる。一方的に!
「お前の彼氏だっけ?」
『うん、まあ』
「ふーん………。お前でも彼氏とか作れるんだ?よっぽどのモノ好きなんだな、会長は」
『そ、そんなこと……』
いや、あるかも………。