第5章 言えなかった
「堂々と教室の中でにやけてんのが悪いだろ?」
『あーくんには関係ないもんねーだ!』
「だから、その呼び方止めろっつってんだろ!」
しめしめ……。
こうなったら、もう有馬に勝ち目はない!
『え?どの呼び方?』
「チッ……うっざ」
『あ!わかったー!あーくん、って呼び方のこと?いいじゃん、可愛くって♪ね?あーくん』
「まじでお前なんなの?昔は可愛か────」
『え?なに?昔は、なんて?』
わたしがそう聞くと、有馬がわたしの両頬をぎゅっとつねった。
『ひぇや!?ひゃにすふの!?ひゃなしへぇー!』
「くくっ………あははははっ!ぶっさいくな顔!」
くっそぉ…………!