第5章 言えなかった
『デート楽しみだなぁ……』
気を抜くとうっかり声が漏れてしまう。心の声がだだ漏れ。
おまけに、うへへって口がにやけちゃう。
こんなの、誰にも見られるわけには……
「お前、なににやけてんの?」
見られたぁ!!
『な、なんのことかなっ?』
「なに、その喋り方。きもい」
『う、うるさいなあ!』
「うわー、怒ってやんの」
にしし、と笑う彼はわたしの幼なじみの有馬(あるま)。
親同士が仲良く、家も近所。
そうなったら、幼なじみとなるのは当たり前のことで。だって、設定が良すぎるんだもん。
そして、その有馬にわたしは昔っから苦労させられている。いたずらは多いし、おまけにさっきみたいにからかってくる。
ほっとけばいいのにさ。
生まれた時からずっと一緒にいたわたし達はまさかの生まれてこの方、17年間今までずーっと離れたことがない。つまり、保育園も小学校も中学校も高校も!ぜーんぶ一緒!
こういうの腐れ縁、っていうの?