第8章 猫は紅い血に染まる
あまりの頭痛に眉間を押さえていると枕元にふあふあの何かが近寄ってくる。
にゃあっ!
可愛らしい声とともに、一匹の黒猫が私の頬をペロペロと舐めた。
「くすぐったい.... ふふっ」
金色の瞳が漆黒の空に浮かぶ月みたいで本当に綺麗な瞳の黒猫
「..... アルだよ」
ぼそりと黒猫の自己紹介をされた、アル?アルってあの大きかった猫の名前?
「えっ、この子大きくなかった??」
「それは、変化してたから」
あぁなるほどと思いつつ、なおも私を舐め続けるアルが可愛すぎて堪らん。
「....可愛すぎて、鼻血が吹き出そうなんだけどどうしたらいい?」
「....やめてよ、ベッドが汚れる。それとも吹き出そうなほど血が有り余ってるならオレが吸うけど?ヒヒッ」
ギザギザの歯を見せながら、ニヤニヤと笑われると冗談に聞こえないから怖い。
そして尚も私を舐めるアル、猫の舌ってなかなかにざりざりしてるからやられ過ぎると痛い。
嬉しいから、いいんだけど。
「....アル、鈴音が好きだからって舐めすぎ」
何故か少しむうっとした表情でアルを静止する一松くん。
にゃ!にゃん!
「なに?オレが鈴音を助けたんだからこれくらいいいだろうって?」
一松くん....
猫と話せるんだ。
す、凄いな....
にゃにゃっ!!!
一松くんの手をてしてしと叩きながらアルは何かを一松くんに訴えている。
「オレだって鈴音のこと心配してたし、お前だけじゃ....あっ.... 今のなし」
顔を赤くする一松くんが、あんまりにも可愛くてウズウズする。
わかんないけど
すっっごいいじめたい。