第8章 猫は紅い血に染まる
「んっ.... 」
ふっと目を覚ますと、目の前に一松くんがいた。
とっても穏やかな顔をして、私の頭を撫でていた。
夢の中とおんなじ顔をして....
「え.... なに.... ここ?どこ?」
辺りを見渡せば、さっきとは全く違う空間にいた。
黒と紫を基調にした部屋。
かなりダークな感じが漂っている。
「....オレの部屋だけど」
私の質問に答えると、一松くんはすっと私から手を離す。
チリンッ
それと同時に涼やかな音色が部屋に鳴り響く。
夢の中で聞いた音だ。
「....それ.... ?.... なに?」
一松くんの首もとを指差しながらそう言うと、一松くんはなぜかとても悲しそうな顔をする。
「....水琴鈴」
かわった名前だ。
あまり聞き慣れない物に興味を示す。
「普通の鈴と違うの?」
「.... 水琴窟の音に似ているから水琴鈴って言うんだ」
すいきんくつ?何それって顔をしていたら一松くんに物凄く呆れた顔された。
「.... 水琴窟は、日本庭園とかの装飾品の一つだよ。簡単に説明すると、水滴音を、地中の中に埋めたカメに共鳴させて、その音を楽しむためのものだよ.... 」
どうしよう....
なかなか専門的なやつだった。
それにしても、物知りだな一松くん
「....ごめん、言ってもわかんないよね」
こいつ今私のことしれっと馬鹿にしやがった....