• テキストサイズ

【おそ松さん】月下に咲くは六色の花

第8章 猫は紅い血に染まる



チリンッ
チリンッ


何の.... 音なんだろ?

綺麗な鈴の音....?
鈴よりももっと綺麗な音?

ふぁふぁ夢の中、清んだ音色が私の中で響く....


大きな桜の木の上
ニヤリと笑う黒と紫色を纏った猫が一匹。

「.... お嬢ちゃんも物好きだよね?オレに話しかけるなんてさ.... 」

そんなことを言う猫は、少女を木の上から見下げている。

「....オレ怖い人かもしんないよ?」

にやぁっと口角を吊り上げるその姿は、眠る前に読んでもらっていた絵本の中の『不思議の国のアリス』のチャシャ猫にそっくりだ。

いつもいつもニヤニヤと笑っているあの猫と被る。

「怖くないよ?お兄ちゃんはチャシャ猫さんなの?」

その言葉に猫はピタリとニヤニヤを止めて、じとっとした目でこちらを見てくる。

「それってあのニヤニヤした猫だよね?アリスを導く猫だっけ?嫌だな.... オレはそんな上等なもんじゃないよ?」

木の上で手を後ろで組んで、枕にしながら猫はそんなひねくれたことをいう。

「でもチャシャ猫さんは、いつもニヤニヤしてるもん!お兄ちゃんはチャシャ猫さんでしょ?」

むきになっているのだろう、少し涙を滲ませる少女。

そんな小さな少女の言う戯れ言に、その猫はハァッと一つため息をつく。

すとんっと大きな木からなにごとも無かったように降りたって、少女の前に膝まずく。

「そう、オレはチャシャ猫だよ?それで君はアリスだ」

「私がアリスなの?」

小首をかしげる少女

「そうだよ?僕の可愛いアリス」

目を少し細める猫、冷たくて大きな手のひらが少女の頭を優しく撫でた。
/ 682ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp