• テキストサイズ

【おそ松さん】月下に咲くは六色の花

第8章 猫は紅い血に染まる



「そういえばさ.... 」

トド松が、アルを撫でながら口を開く。

「一松兄さん、今回力暴走しなかったね.... 」

目を見開き、手を見つめる。
.... いつも暴走する力

あまりに強大すぎる力は、時として破滅へと導く。
コントロールできない力は、ただのゴミでしかない。

.... チリンッ

マントを外した為に鳴るのは、いつも首につけている淡い紫色の錆びた水琴鈴。

「....それ、まだ持ってたんだ.... 」

トド松は少し寂しそうにそう言った。

「....宝物だから」

チリリンと涼やかな心地よい音が、オレの動きに合わせて鳴る。

「....鈴音は預かっていくから」

くるりと後ろを振り返る。
自室に帰るとわかったのだろう、アルがオレの横にすっと寄り添う。

「一松兄さん.... 僕は.... 」

「.... トド松」

返事を言う前に、トド松の言葉を遮る。
何百年も一緒にいるから言いたいことなんてわかるんだよ....

「おそ松兄さんとかクソ松のが先かも知んないけど、本当の先は僕だから.... 」

それだけを言い残して、左足でコンコンと二回地面を叩く。

ふっと景色がかわって、自室の黒い絨毯の感触がオレを迎えた。
/ 682ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp