第7章 忘却の桜
...... 人間が憎いんだ....
なにも聞こえない
なにも言わさない
僕は忘れない
僕は忘れない
僕は忘れることなんてできない....!
心の声に耳を傾ければ、其ばかりが木霊する。
それを打ち消すように鈴音ちゃんを貪る。
息をすることを許さないように、鈴音ちゃんの唇を何度も何度も深く犯す。
桜の木で逃げ場をなくして
そこに押さえつける。
「んんっ.... んっ.... 」
くぐもる声が、耳に届いても離してなんかやらない。
気づかなければよかったのに
どうして君は気づいてしまったんだろう?
大量の化粧品
そこに詰められた想いが何かなんて
それを用意するとき、どれだけ悩んでたかなんて
優しさなんてそんなもの気づかなかったら、こんなことしなかったのに
自分だって気づかないふりをしてたことを、よくも簡単に言ってくれちゃって....
あのとき死んでくれてたら、僕の中身がこんなにかき乱れることなんてなかった。
服を脱いだとき、魅せられた。
醜いと思っていた人間の瞳ではなかった。
あんな強い光をみたのは後にも先にもきっと鈴音ちゃんだけ....
抉るように唇を奪う。
舌を絡めて、口内に溜まった唾液を混ぜる。
苦しそうな声を出す鈴音ちゃんのことなんか知らない。
唇の端から僕と鈴音ちゃんのが混ざった唾液が、鈴音ちゃんの白い首筋を伝う。
その甘さときたら、どうしていいかわからないくらい僕の脳内を揺らす。
あまりの甘さに、少し力を抜いた瞬間をついてドンッと胸を押された。