第7章 忘却の桜
桜の根本で、上を見上げる。
満開の桜が私の頭上に咲き誇っていた。
今は桜の時期じゃないはずなのに
「もしかして、夢かなんかか?」
頬っぺたを引っ張ってみた。
痛かったから、夢ではない。
「こんなところで何してるの?」
柔らかい声が真後ろから聞こえて、バッと振り返る。
「ここ、あんまり入ってきてほしくないんだけどな?」
ニコニコと笑うピンク色の影。
なんでだか、畏縮する。
「ご、ごめん勝手に入って、おそ松に朝食に呼んできてくんないって言われたから」
本当にそれ目的で来たのに、なんでだか私が悪いことしてるみたい。
まてまて、そもそもこれはおそ松が悪いんじゃん!
いや、勝手に部屋は入った私が悪いか。
「まー別にいいけど!それよりさ.... 」
ニコニコしながら私に近寄ってくるトド松くん。
なんだろう、物凄く嫌な感じがする。
なんだかわからない取っ掛かりに、胸焼けを起こしそうだ。
ニコニコとしているはずなのに、安心しないしなんか怖い。
「....死んでなかったんだ」
........えっ?
今何て言った?
ちょっと聞き取りづらかったかも....
「あれは絶対に死んだと思ってたのにー」
何故だか残念そうに言うトド松くん。
なにこの子....