第7章 忘却の桜
「んじゃー目をつむって」
そういわれて目をつむる
ちゅっ....
.... ん?
おでこに柔らかい感触がした。
それと、セッターの匂い....
ぱちっと目を開ける。
さっきまで食堂にいたはずなのに、みんなだっていたはずなのに
あたりを見渡せば六つの扉。
私はそのうちの一つの扉の前にいた。
ピンク色の扉だ。
《トッティのお庭》って書いてある。
え.... これってさ部屋だよね?
なんでトッティのお庭なの?
物凄く不思議でたまらないんだけど、とりあえず扉に手をかける。
きいっと音がした。
「な、ななななな!?!?!!!!」
言葉にできない光景がひろがっていた。
ぶわっと頬にピンク色の花びらがかすめた。
桜だ....
満開の桜が咲き誇ってる。
室内だよね?
ここ室内だったはずだよね!?
口をあんぐりしながら恐る恐る扉の外と中を見比べる。
間違いない
扉の外はちゃんと室内だ。
けど、扉の中は外で
しかも綺麗な満月
朝だったはずなのに....
やっぱりこの家というか、屋敷というかなんというか絶対に普通じゃない。
さすが、不思議魔法の家。
それにしても、本当に見事な桜だ。
綺麗すぎてため息が出てしまうくらいに....
そっと扉をしめて、桜の根本まで歩きだした。