第27章 白無垢よりもウェディングドレスよりもタキシード!?
「あー、うん忘れてた」
「ちょっ!感じ悪っ!!なにその感じ、僕だけそういう扱いって何!?」
まあるい柔らかそうなほっぺは、もちが膨らんでいるかのようであざとい。
「いや、なんかいっぺんに色々とかさなると忘れちゃうよね、本当」
「はあ?僕のこと忘れるとかないわー本っ当にないわー」
口ぶりからして心配をかけていた...のかな?
何はともあれこうして無事救出されてしまった。
「えーと、そんなこんなで救出してくれて嬉しいんだけど、他の3人はどうしたの?」
その言葉に3人はとてつもなく素敵な笑顔を浮かべた。
「「うん、3人とも死んだー」」
さすが兄弟と言うべきか、それぞれの声が完璧に合わさっている。そして笑顔さえも合わさっている。
滅多に笑わない一松くんの満面の笑み。黒い黒いよ全員。
いつも言い争いをしているとはいえ、兄弟だ。
まぁ6人もいるのだから好きランキングとかあるだろうけれども、兄弟だよ。
それなのに死んだなんて嬉しそうに言ってていいんだろうか。
「まぁ鈴音ちゃんを救うためなら仕方ないよね」
「たしかに」
「...あんたが無事なら、あいつらもうかばれるって、ヒヒッ」
「たしかに」
2人の一言に相槌をうつ十四松くん。
え、なに?新技?新技なの?
二人とも結構酷いこといってるよ、それに賛同してしまっていいのか十四松くん!
「なんくるないさー!」
心を読んだとばかりに叫び出す十四松くん。
あぁ、十四松くん。
君は天使だと思っていたのに...。
「まあぶっちゃけ、上のクズ共の命と鈴音ちゃんなら100と0で鈴音ちゃん選ぶよね」
トド松くん、君は...いやこいつはもともと悪魔と思ってた。
ヴァンパイアとかいう素敵な(?)設定うんぬんを置いておいて、確実に悪魔だ。
「鈴音ちゃん、無事でよかった」
笑顔のまわりにキラキラと光を浮かべている。
あざとい、あざといのなにものでもない。
「あ、ありがとう」
顔をひきつらせつつお礼をいうけど、内心やっぱり複雑な気分である。