第27章 白無垢よりもウェディングドレスよりもタキシード!?
さて、所変わって厠の前。
長い廊下の隅の方でおそまこと長男の俺は、トト子ちゃんに顔面を掴まれてた。
いや、痛いわ。
頭ぎゅうぎゅうなってるわ。
「おいコラくそニート、なんでトト子の邪魔するのかなぁ?」
満面の笑みから般若の顔へと様変わりしたトト子ちゃんは、容赦なく幼子を壁にめりのませる。
「ちょ、あれ、お姉ちゃん、私はおそみゃ!」
自分が幼子であろうと誤魔化そうとすれば、ミシミシと木の柱が音をたてる。
でもって俺のもちもちのほっぺは柱と嬉しくないディープキッス状態。
「その顔、その名前で気づかねぇわけねぇだろ?舐めてんの?ねぇ?トト子の事舐めてる?」
「い、いえ全くなめへまへん、いやむしろ本当に舐められるなら舐めたいけど、物理的にって、ちょ、ふめて、これ以上めりこまへなひて!」
「何言ってんのか、トト子わかんなーい」
あ、笑ってる。
清々しいほど満面の笑み浮かべてんじゃんトト子ちゃん!可愛い!
んでもって、死ぬほど痛い!
軽く生命の危機感じるんだけど!
ミシミシいってるよ!柱からしちゃいけない音がみっしみっしいってるから!
「とりあえずー、トト子の邪魔したからー、おそ松くん爆破決定ね?」
「え!?ま、まって!まって!」
このままじゃ死ぬ!
鈴音を助けようとして犬死にする!
やだ、まだ死にたくない!
あの花園(さっきまで見てた、鈴音とトト子ちゃんの情事)を思い浮かべながらシコってないのに死ぬとか嫌だ!
トト子ちゃんの冷たい手に圧がかかり続けるなかで、必死に言い訳を考える。
そして...。
「これは作戦なんだよトト子ちゃーん!」
俺の一言に壁へのめり込みが弱くなる。
そして、般若顔からみるみる元の可愛いトト子ちゃんへと戻り首を傾げる。
「作戦?」
「そ、そう、そうそう!ほら、俺が子どものフリしてトト子ちゃんが俺の面倒を見れば、あの狐もトト子ちゃんの事優しいヴァンパイアだなって思うでしょ?だから!」
「なにそれ、元のトト子は優しくないっていうの?」
みしっとまた柱から軽く音が響く。
「そ、そんな訳ない!優しい!んでもって超絶可愛い!」