第27章 白無垢よりもウェディングドレスよりもタキシード!?
「「お、押し倒した!!?!?」」
ほぼ全員同時に声を揃えた。
(もちろん小声で)
そして全員が同時に赤い河ならぬ、汚ったない鼻血を垂れ流し鼻の下をのばす。
のばすったらのばす。
このままじゃ、ピーでバッキューンな放送事故なんだけど!
なにそれ、お兄ちゃんまだ全裸待機できてない!
こうなりゃ、ここでシコシコするしかない?
あっ、ちょっとティッシュ、テッシュ持ってきて!
もちろんあれな、柔らかいやつね。
鼻セ⚫ブとか、安いやつじゃふくときち⚫こ痛いから!
まあ本当はティッシュ使うの嫌なんだけどね、張り付くからー。
んな呑気にかまえてる場合じゃないんだけど。
お兄ちゃんまで冷静さ失ったら大変じゃん?
まぁ、理性は失いかけてるけど!
「鈴音!」
全力で手を伸ばそうとしている一松だが、相手はトト子ちゃんだ。
手荒な真似なんてできない。
空中で引っ込みのつかない手が、どうしようもなく虚しくみえた。
そんないちまっちゃんだけど、鼻にはしっかりと赤い河が流れてる。
これ、乗り込んだりしたら多分命はないだろうな。
この花園を見た後でシコれないまま死にたくない!
なんて冗談をかましてる場合じゃない。
そんな事はちゃんとわかってるんだよ。
わかってるんだけどね。
「何してんだよ!クソ長男!こんな時くらい長男らしくなんとかしろよ!」
半泣きのチョロ松、うん言ってる事は正しいのにね。鈴音がピンチでもやっぱりトト子ちゃんには手が出せない。
だからこそ半泣きなんだろうけどさ...。
とりあえずさ、その赤い河をせき止めような。
いやわかる、わかるよ。
複雑な気持ちなのはよーくわかるから。
「もうこうなったらあの手しかないか」
このまま鈴音をトト子ちゃんの恋の奴隷にするわけにもいかない。
だからといって、トト子ちゃんを攻撃するわけにもいかない。
このどうしようもない状況で閃く俺、やっぱり天才だよね。