第27章 白無垢よりもウェディングドレスよりもタキシード!?
ししおどしがなる中で、今訳の分からない何かと対峙している。
「Hey、カラ松レディ、いや今はカラ松ボーイかな?心配する事はない!さぁこの俺、カラ松運転手がくれはばもう安心だ!目的地は海の果て!俺と共にいきまミッション!」
...これさ、カラ松だよね?
どっからどの角度から見てもカラ松でしかないよね?
とりあえずと気を取り直して名前を呼ぼうとしたら、何故か遮られた。
「ノンノンノン!ボーイ!カラ松ボーイ!俺はカラ松ではなぁい!ただの運転手、そーう!人と真心を乗せて走るだけしかできない男さ!OKミッション?」
指を前にだし軽く振った後、左手をおでこに右手を高く上げて、へんなポーズをとるへんな運転手。
その光景に私は現実逃避がしたかったのか、とりあえず目の前の温かいお茶をずずっと1口飲む。
柔らかい苦味が口の中に広がり、ホッとさせる味。
湯のみから口を外せば、薄緑色の水面が静かにゆれる。
目の前にいた誰かさんより後ろを見てみれば、雲ひとつない晴天が眩しい。
庭に咲いているのは梅の花だろうか?
冬の始まりが近づいているのに少し温かくすごしやすい温度なのは、やはり不思議魔法の世界だからなんだろうな。
ふんわりと甘い香りが鼻腔を抜ければ、庭の花がやはり梅である事に気づく。
桜色、濃い紅、白色、梅は色んな色があるから賑やかな庭だ。
そんな素敵なお庭にちらちらと見知った顔が5つほど見える気がするのだが、もう何も見ていない事にしよう。
目線をそらし、またもお茶をずずっと飲み干して空を見上げる。
その瞬間だった。
一瞬とはこの事を言うのだろう、目の端に映り込む見事な紅色の布地。
バシリと軽く音が鳴り、慌ててそちらをしっかりと見てみれば紅色の布地には庭の梅をそのまま散りばめたかのような絵柄がくっきりと見える。
そして、少しづつ上を見ていけば鬼のようにぎらついた鋭い眼光がちらりと見え、人生が終わったと一瞬で理解した。いや、せざるおえなかった。