第27章 白無垢よりもウェディングドレスよりもタキシード!?
「さーてと、とりあえずこっちの着物に着替えよっか?」
コロリと表情がかわり、いつ間にかいつものあざといトド松くんに戻る。
ふふっと笑いながら、この色かこの色かと両手で私に着物を見せてくる様は女の子だ。
なんか変な感じ...。
「髪は1つで結った方がカッコいいよね!」
くしを手に私の髪を意図も簡単に結い上げていく、その手つきは毎回感心するほど鮮やかで無駄がない。
「それにしても、なんだって可愛い僕じゃなくて鈴音ちゃんが選ばれるんだろうね?ぜーったい僕の方が可愛くておしゃれなのに!」
ぷくっと頬を膨らませれる。
あざとい、あざといと検索したら1発目で検索にヒットするんじゃないだろうかってくらいだ。
それにしても、自分を可愛いと豪語できるほど自分に自信があるとかある意味凄い...と思おうとしたら、サングラスをしブランデーグラスをまわす(中身は麦茶)誰かさんを思い出しそうでもないかと思った。
こういう時に私の空想というか、回想に出てくるのはやめて欲しい。が、想像せざるおえない。
まぁ、でも...。
「あのさ、あんた別に可愛くなんてないよ」
「はい?」
思った事を口にしたら聞き返される。
しかも、ものすごく不機嫌そうにだ。
「いやだから、可愛くないあざといだけ」
「あざとい?どこが?僕全然わかんないんだけど?」
きゅるんとチワワか何かみたいな目で言ってくるこれのどこがあざとくないと?
「どうでもいいけどさ、別に可愛くなくていいじゃん」
「な!僕から可愛さとったら何が残るの?」
そもそもなんでそこまで可愛さにこだわるのか?
はぁっと深くため息を1つついて、鏡の中の自分を見つめる。
まぁ、今の姿で言えたことでもないけどさ...。
「ありのままでいいんじゃない?可愛くなくたっていいと思うよ。腹黒いまんまでさ?」
にかって笑ってみせる。
「私、あざとくないままのトド松くん結構好きだよ」
「...え?」
鳩が豆鉄砲くらった顔みたいでおもしろい、そんな事を思っていたら柱時計の音がボーンと鳴った。
「着替え手伝ってくれてありがとう。生きてたら、また会おうね」
ひらひらと手を振り前を向く。
これが最後の言葉だったら、なんて嫌だから生きて帰らなきゃね。