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【おそ松さん】月下に咲くは六色の花

第27章 白無垢よりもウェディングドレスよりもタキシード!?



「どうすんのー!ねぇ!どうすんのー!」

頭を抱えてクネクネと動きはじめる十四松くん。
十四松くんがここまで取り乱すだなんて、いやいつもこんな感じではあるんだけども。

「よーしよしよし!落ち着けー!十四松!」

いつの間に現れたのか、暴れ出す十四松くんをなだめだす紫の影。首根っこをがしりと捕まえてよしよししている様もされている側もどちらも微笑ましい。

ただ一つ疑問なのは...。

「ねぇ、毎回思うんだけどどうして皆足音一つたてずにいきなり現れるの?」

本当に毎回思っている事だ。
松坊ちゃんのほとんどが足音ひとつ立てず気づいたらいるのだ。
そして逆もまた然り。

神出鬼没というやつ。

「そんなのきまっているだろうレディ?俺達がヴァンパイアだからさ!」

目を異様にキラキラさせながらカッコつけるイタい次男を無視して、ぼんやりと一松くんと十四松くんを見つめる。

そしたら一松くんとバチッと目と目が合う。
ほんの一瞬だろうか、一松くんはとても切なそうな表情をしたかと思うとふいっと視線を別の方へとそらした。

ハロウィンパーティーの夜以来ほとんど話したりしてない、秋に浮かぶ儚げな月と切ない音楽のなかでみた彼は夢かなにかだったんじゃないかと錯覚するほどだ。

と、今はそれどころではない。

「とりあえずさ、私このままじゃ死ぬの?」

「「うん」」

「まさかの満場一致!?」

どうやら本当にやばいみたいだ。
さよなら私の人生、もっとおいしいものを食べておけばよかった。

「こうなったら一か八かお見合いするしかないんじゃね?」

事の発端をつくったアホ松がケラケラと笑う。
どうしよう、今ならこいつ撃っても誰も私を咎めないよね?

「撃ってもいいと思うよ?あっ十四松兄さんだしてあげて?」

「あいあいさー!」

にっこりしながら弾を作り出す十四松くんと、できあがった弾を渡してくるトッティ、素晴らしい共同作業だ。

「え?待って待って、それヴァンパイアがあたったらマジでヤバいやつだよね?」

「よかったな、1発で死ねて」

「いやいやいや!目が怖いから!ヤバいから!」

その日銃声が何発も鳴り響いた。
が、ことごとく当たることはなかった。
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