第27章 白無垢よりもウェディングドレスよりもタキシード!?
「ブラザー!なんでお見合いさせてあげるなんて言っちゃったんだ!このままじゃレディがブラッドを噴き出して噴水になるぞ!」
カラ松の一言にさあっと背中が寒くなる。
すごく身の危険を感じるんだけど、なに血の噴水って?
色々と想像を巡らせてみるけれど、全身から血を吹き出すのも、体の1部がもげて血を吹き出すのもどちらも嫌だ。
私どうなんの?
そんな中、能天気な馬鹿がケラケラと笑いだす。
「おー、それいいな!飲み放題じゃん!」
「「何にもよくないわ!このクズ長男!」」
チョロ松くんとツッコミをいれながら、ふむと考える。
松坊ちゃん達がここまでいう人物?だ。
確実に私の身は危険である事に間違いはないだろう。
弾をこめおえた銃をみつめながら、ふうっとため息を一つ。
あぁ、終わったわ私の人生終わったわ。
「とりあえず危険なのはわかった、このままじゃ命が危ういって事なんだよね?」
その言葉に馬鹿松以外の全員が頷く。
私は生身の人間なので、命は一つしかない。
さらに付け加えるならば、ちょっとした事で即お陀仏になりかねない。
それも魑魅魍魎が犇めくこんな世界ならばなおさらだ。
この世界に溶け込み始めたからといって、特別な能力に目覚めるだとか、主人公覚醒だとかの魔法系あるあるやホラー系あるあるみたいな都合の良い展開になるわけもない。
例をあげるなら、とある組織から漏れ出したウィルスで人がゾンビ化した世界の中でウィルスを注入され美しくしなやかな動きで敵を倒し、あげく超能力にめざめるだとか。
耳の先がピンクで、全体的に白く赤い目のうさぎだかなんだかわからない生き物と契約して魔法少女とかになることも無い。
年齢的にもきついし何よりもそんな得体の知れないもの、とくに見た目だけ可愛い感じを醸し出してるものと変な契約は交わさない。
「ねぇ、なんで僕を見てるの?」
「いや、別に」
きゅるんと可愛さを全面におしてくる今まさに見本として丁度いいピンク色のヴァンパイアを見ながら、うんとうんと頷いた。