第27章 白無垢よりもウェディングドレスよりもタキシード!?
下を向いて表情の見えない鈴音ちゃんに、追い討ちをかけるかの如く長男が僕の言葉をさえぎる。
「え!?考えるだろ、そこは思い出すよ!お兄ちゃんなんか思い出してもうギンギンだよ!すぐにでも結合した...」
言い終わる前に銃声が響いて、僕と長男の間の床に穴があいた。
「それ以上クソみたいな言葉を吐いたら消すぞ?」
「「は、はい」」
微笑みながらも恐ろしい凄みをみせた鈴音ちゃん、もはやその笑顔で人を殺せると思う。
「所で鈴音ちゃん本当にお見合いしちゃうのー?」
お見合いがなんであるかわかったようで、十四松が鈴音ちゃんの服の袖を引っ張り心配そうな顔をする。
「そうだね、十四松くん...行ってちゃんとお断りするのが一番誠意があるよね?」
「待て!」
そう言って止めたのは次男だ。
なんかまたイタイこと言うんじゃ...。
「俺は反対だ。レディの言う事はわかるが、相手が相手だからな」
ふうっとどっから出したのか、タバコをふかしながら意外とまともな事を言い出す。
「相手がって、凄い綺麗な人だけど?あとここ禁煙な?」
満面の笑みを浮かべながら、弾を入れ直す音がカチリカチリと響く。
冷静に見えるけど、結構イライラしてるみたい。
その1連の行動にさあっと顔を青くし、ポケットからギンギラギンの携帯灰皿を取り出して必死に火を消す姿がなんか...。
とりあえず気を取り直して僕が説明に入る。
「僕から説明するけど、この子トト子ちゃんって言って僕ら松野一族と並ぶヴァンパイア三代貴族の一つよわい一族のお姫様なんだ。」
ふーんといいながらトド松から写真台を受け取り、じっと見つめる鈴音ちゃん。
「すっごい綺麗な子だね?お姫様って納得だわ」
「うん、すっごい可愛いよね!僕もそう思う!うん、でも、でもね...」
言葉につまりながら、困った顔をしてるとじっと瞳を覗き込まれる。