第27章 白無垢よりもウェディングドレスよりもタキシード!?
「あのさぁ」
なんだがもうよくわからなくなった空間にボソリと呟き出すのは、お見合い相手に選ばれてしまった鈴音ちゃんだ。
ここまで来ちゃうともう誰がお見合いを申し出てきたかわかるよね。
そうだよ。
ちらっとトド松の手の中にある写真台をみれば、紅色に白い桃の花が散りばめられた豪華絢爛な着物姿の我らが六つ子のアイドルが微笑んでいた。
「いや、うん、ここに来て血を吸われたりだとか何故か悪魔に懐かれたりだとか色々とあったよ。でも流石に女の人とお見合いさせられるとか予想外なんだけど」
呆れ顔というか困った顔をしながら項垂れる鈴音ちゃん。
いや、これは僕らも予想外だからね。
「俺だってびっくりだよー、でもトト子ちゃんがどーーーしてもどーしても鈴音と見合いしたいって」
「いや、断れや馬鹿松」
冷静に我が家の馬鹿、もとい長男にツッコみを入れつつ、ため息をつく鈴音ちゃん。
...困ってる顔もいいな。
そんな不謹慎な考えを振り払いながら、とりあえず長男に意見してみる。
「流石にこれは無理だと思うんだけど?鈴音ちゃんは女の子だよ?女の子なんだよ?馬鹿長男」
「そんな事言われなくたってわかってるし、何だったらダンスパーティーの時バッチし見えてたし」
「本当に最低だな!お前は!」
すかさずツッこむと同時に、鈴音ちゃんの柔肌を抱き締めたことを思い出してしまう。
柔らかかったなぁ、鈴音ちゃん...。
さらにそこから鈴音ちゃんを、なにしてアレしてアレアレしちゃった時の事を思い出す。
「うわっ!チョロ松兄さん汚ったない!」
いつの間に復活したのか、トド松の声にハッとした時には口の中に微かに広がる血の味。
どうやら鼻血がでちゃったみたい。
「ムッツリチョロシコ三郎」
ぼそっとそういう長男。
いやでも今はそこじゃなくて!
「ち、違うよ鈴音ちゃん!これはけしてその!色々と思い出してとかそんなんじゃなく!」