第27章 白無垢よりもウェディングドレスよりもタキシード!?
ハロウィンから少したって、やっと生活が落ち着きをみせた頃にわけわかんないことを言い出すバカ松。
「お願い、ちょっとでいいんだって!本当にちょっとで!」
「お断りします」
満面の笑みを浮かべキラキラさせる。
こんなに下手に出てるバカ松みたことない。
そしてこんな馬鹿げた話を聞かされた事めったにない。
「おねがぁぁい!お兄ちゃんの言う事きいてぇ!ちょっとだけだから!先っちょだけだからぁ!」
「なんの先っちょだ、このクズ野郎」
やっと落ち着いたと思ったらこれだ、この家というか一族というか毎度毎度こうやって騒ぎを起こさないと生きていけないんだろうか?
ふわりと香る甘い紅茶の香り、できることならこのバカを放置して私もあやかりたいもんだ。
「ねぇ、もういいでしょ?業務に戻っていいですか?バカ松様?」
「!!そんな事いわないで!いいじゃん!ちょっとぐらい!」
私のメイド服の裾をひっぱりながらお願いをやめないクズ野郎。
お見合いをこんなにすすめるとか、どこの世話焼きババアなんだろうか?
だが、ことはそんなに単純なことではない。
複雑であり、シュールであり、馬鹿げている。
バカ松だけに、馬鹿げている。
はぁとため息を一つ吐けば、無感心を決めこんでいたピンクのアザトッティが甘い香りを引きつれて私の横に立つ。
「鈴音ちゃんとお見合いしたいのってどんな奴なのー?」
こいつ、さっきまで面倒だからパスみたいな顔してたくせに...。
なんて思ってたら、真後ろから大きい声が響いた。
「僕も気になるー!!」
後ろから腕をまわされ、肩に手をかけられれば黄色い袖が首元を温めた。
重さを感じないのは空中に浮いているからだろう。
「ほら!ここに写真あるから!」
すかさず写真を取り出すバカ松。
「どれどれー!」
無邪気そうな表情を顔に貼り付けて入るが、真後ろからどす黒い何かが出てきているように見えるアザトッティ。
なんだ、私が見合いする事がそんなにも不満なのか?
そんな事を考えながらじっとアザトッティを見つめていたら、バチっと目が合った。
「あっ、言っとくけど鈴音ちゃんが誰と見合いしようがあんまり興味はないんだよ?ほら、食料がいなくなったら困るでしょ?」
この野郎...。