第2章 夜に舞うのはコウモリ達
「.... 帰っちゃうの?」
何処からどうやって出てきたのか、私の腰辺りをぎゅうっと抱き締める黄色い影。
とんでもなく寂しそうな顔で此方を見つめてくる。
めちゃくちゃ純粋な目で、言うなれば子犬みたいな目で!
「....これは反則だとおもいます」
赤いこと、おそ松とやらに抗議する。
「え?なんで?引き離せばいいじゃん?
カラ松のメンタルミンチにできたし、一松のドMも引き出せたし、簡単じゃないの?ねぇ?鈴音ちゃん?」
くっ.... こいつ、わかって言ってやがる。
「こんな.... 」
「こんな?」
「こんな、可愛い生き物を剥がせるほど私は強くないよー!」
どしゃーっと崩れ落ちれば、それは私の完全敗北をしめす。
「よくやった!十四松!ほら!ロリポップやるぞ!」
六色のロリポップを渡されて、わーいと嬉しそうにはしゃぐ十四松くんが可愛すぎてなにも言えなかった。
「と、とりあえず座って下さい」
若干声が裏返っている緑色が、パチんと指をならすと何処からともなく座布団が登場した。
「ありがとう.... えと、名前教えてくれる?」
「ま、ま、ま、松野.... チョ、チョ、チョロ松です.... 」
余程緊張しているのだろう、まぁこれはこれで可愛い。
私はとにかく純粋なものに弱いのだ。
「座布団をありがとう、チョロ松くん」
にこりと微笑めば、チョロ松くんは顔を真っ赤にして黙り混んでしまった。