第26章 揺れる心〜愛の逃避行、無垢なる笑顔と恋のlabyrinth〜
「なにいってんの...?」
ピキリと空間が歪む。
「鈴音があの時期に戻ったのは、誰かのせいでしょ?なら一番可能性があるのはお前だよね」
ピキピキと音が鳴る。
別にそんな事言いたかった訳じゃないけど、1度出た言葉は戻ることは無い。
「はぁ?なんで僕がわざわざそんな事しなくちゃいけないの?意味わかんないんだけど」
そんなのオレだってわかんないけど、じゃあなんで鈴音がオレのこと覚えてる時に戻ってるの?
それに、鈴音がオレを見つけそうになった時、フォローを入れたのはトド松だったよね。
「同情でしょ?なに?最近お前いい子になったの?そんなに鈴音に好かれたくなった?」
弟にこんな事を言うのってほんとに最低なのはわかってる。
でも...。
「ざけんなよ、言っていいことと悪い事もわかんないの?」
空間が歪む。
皆の顔が曇ってくのが、すごくよくわかる。
「ね、ねぇ?喧嘩はやめよ?ねっ?ねっ?」
「そうだよ!ほら!トド松に謝って一松、今のはお前が悪い」
何も知らない十四松とチョロ松兄さんがオレ達の喧嘩を止めにはいる。
それなのに言葉がどんどんどんどん溢れてきて...。
「今さらいい子になんてなれる訳ないのに、オレらは人間の血を吸うクズでしょ?鈴音の保護者にもなんにもなれる訳ないじゃん」
そんな事言いたくないのに、オレの心はここ数日ぐちゃぐちゃに掻き乱されてて...。
「ねぇ?煽ってんの?いいよ?喧嘩ぐらいいつでもかってあげるからさ...」
バチバチとオレの周りにピンク色の稲妻が走る。
少しでも触れたらまぁまぁ痛いと思う。
「ふーん、トド松お前、力をコントロールできないクズにここまでするんだ?へー」
周りの空気に気づいたのか、エスパーニャンコが猫じゃらしにじゃれつくのをやめた。
「ねぇ?僕だって怒る時はあるよ?」
「よくゆうね、本当は短気なくせに...」