第25章 戦士の安らげる場所〜愛の逃避行、カラ松onrabu編〜
「レ、レディ!気を落とすな!ほらあっちをみろ!ペンギン!ペンギンさんだ!」
カワウソのチョロリンとチョロチョロとハイタッチができず、落ち込んだ様子のレディの手を引く。
「ペンギンさんだ!」
白い氷の上をペタペタと歩くつぶらな瞳と、鋭いクチバシをもつペンギン達がてちてちと歩いている。
「カラちゃん?ペンギンさんのお手てに何かついてるよ?」
「ふむ?どれだ?」
レディの一言にペンギン達の腕あたりを見れば、確かに何かのアクセサリーをつけている。
「ここからではよく見えないな、側に来てくれるといいのだが?」
「私も、側で見てみたいな...」
俺達の一言を聞き分けたのか、1匹のペンギンがざばんと水中に飛び込んできた。
この水槽は奥側が氷の陸で、外側つまりは俺達側が水中になっている。
「あっ、こっちに止まってくれた!」
嬉しそうにレディが言う、賢いペンギンだな。
近づいて来てくれたペンギンの腕をよく見てみる。
「ふむ?TOTTY...!?トッティ?!」
なんだ、これまた親近感のわく名前だ。
なるほど、ペンギン1匹1匹の腕についているアクセサリーは名札のようなものか。
「トッティ?この子トッティっていうの?」
キラキラと目を琥珀のように煌めかせる。
どうやらレディはペンギンのトッティを気に入ったらしい。
「トッティ、すっごい可愛い!」
にこにこしながらそういうと、その言葉と同時にトッティことペンギンが水中でくるりと一回転を決める。
ふっ、流石俺のブラザーと同じ名を宿したペンギンだ。漆黒の翼を水中で大きく羽ばたかせて、その姿はさながら空をも飛んでいるように美しい。
「うわぁ!トッティ!すごい!すごい!」
嬉しそうに笑うレディ、ふっペンギンがお気に召したようだ。
しかし、何故だろうなこのペンギン。
先ほどから見ているんだが、レディか他のカラ松ガール達にしか一回転をみせないんだ。
他のカラ松ボーイの事は知らんぷりするんだ。
もちろん、この俺のことも...な...。