第25章 戦士の安らげる場所〜愛の逃避行、カラ松onrabu編〜
色とりどりのフィッシュのトンネルを抜けた先に、太陽光がガラスを通り抜けた明るい空間に出る。
「うわー!明るいね!」
キャッキャッとはしゃぎつつも、俺の言いつけを守って小さな声でレディは笑う
ゴツゴツとした黒い岩肌の隙間から青々とした苔が太陽に照らされ、水滴をキラキラと光らせる。
水滴を苔に与えるは、岩と岩の間から落ちていくスモールサイズの滝だ。
室内の中にある小さな森の中で、生き生きと命を輝かせるのはメダカやサワガニ達。
「小さいハサミ、みて!集まってる!」
「おおっ!レディ!みてみろ!こっちにはメダカがいるぞ!」
「メダカの学校だ!」
滝から落ちた水が、岩でできた池に集まってユラユラと揺らいでいる。
サンシャインの光がそこに溢れれば、水面は光を反射しもう一つのサンシャインが現れ光り輝く。
眩しい光を閉じ込めた水の中には、ふわりふわりと水草が揺れ光に歓喜している。
水草が光に揺れれば、酸素となり小さな泡がシャボン玉のようにぽつりぽつりと弾け出す。
それを取り込んでメダカ達が呼吸する。
「生命...か」
池の終わりの前に置かれた黒い看板にはそう書かれてあった。
「生命?生命ってなぁに?」
不思議そうな顔をするレディ、小さな子というのはなんでもかんでも不思議がる。
きっとそれは生きる為の知恵や心を育む為だろう。
「生命というのはな、一人一人にあるものであり。この世界にある生きとし生けるものの事さ。命ともいう」
「私にもあるの?」
すかさずそう言って考えこむ仕草の横に寄り添う。
小さなブーツが看板の前で佇み、俺を見上げる。
「あぁ、もちろんさ。命があるから、人は暖かい。そして美しい...」
「美しい...の?」
「ふっ、ああ...レディ、もちろんレディも...美しい」
ふわりと頭をひと撫でし、レディの手を引く。
頬を赤くし、嬉しそうに笑ったレディの手はやはり小さくて。
心地よい温度なのに、それなのに...
何故だろうな、とても切なくなってしまうのは...。