第25章 戦士の安らげる場所〜愛の逃避行、カラ松onrabu編〜
「大人1人と子ども1人でお間違えないですか?」
透明なガラス越しでニコリと微笑むカラ松ガールに俺はフッとカッコをつける。
「その通りだカラ松ガール!だーが、少し間違っている!プリンス1人、そして愛しきプリンセス1人だ」
「えーと、はい、かしこまりました。こちらチケットです。どうぞお気をつけて」
また1人カラ松ガールを虜にしてしまったな。
刺さるようなあの熱い熱い視線。
全く、まだ夜ではないのだがせっかちなガールもいたものだ。
本当に俺は罪な男ギルトガイ、今宵もまた漆黒の翼を広げ、カラ松ガール達の白き首筋に悪魔のキスを捧げるとしよう。
それ以上?
ふっ、ガール達、禁断の果実をあじわ...
「カラちゃん、チケット買えた??」
すまない、カラ松ガール達。
今俺はこの可愛らしいプリンセスの瞳を見つめているだけで、心も身体も満たされている。
悪魔のキスはまた次の機会に取っておくとしよう。
「もちろんだ、レディ!さぁ行こうか?」
「うん、あれだね!ジンベイザメいるかな?」
小さなブーツをカンカンと弾ませて、レディは俺の手をグイグイと引っ張っていく。
せっかちなレディだ。
そんな所もまたキュートだがな。
「レディ、館内では静かにだぞ?俺との約束だ」
「しーなの?お話しちゃダメ?」
眉を下げるレディ、やはり女の子だ。
おしゃべりできないのは寂しいらしい。
俺はレディの柔らかい髪を優しくときながら、フッと笑ってみせた。
「小声でなら大丈夫だぞ?」
「小声?それってこれくらぃ...?」
こしょこしょと内緒話をするように言うものだがら、あまり聴こえない。
これではおしゃべりいや、言葉のキャッチボールは難しそうだ。
「ふむ、困ったなレディ。俺とレディとの距離が遠ければレディの叫びは届きはしない。つまり俺とレディはディスティニー、赤き糸のように絡みついていなければならない」
そう言えば不思議そうに小首を傾げる。
困らせる気はないのだが、どうにも説明が難しい。
「だからレディ、俺から離れないようにするんだぞ?」