第25章 戦士の安らげる場所〜愛の逃避行、カラ松onrabu編〜
「あ、ああ、すまない、つい感極まってしまってな」
「感極まるってなに?」
ソースを口につけつつ首を傾げる様は、言葉にできなぁぁい!
「感極まるとは、感動しているということさ」
左手で額を抑えつつレディに説明すると、レディはふーんと言った後に目を輝かせた。
「じゃあ私、カラちゃんの作ってくれたハンバーガーの美味しさに感極まる!」
満面の笑みで、そんな可愛らしい事を誇らしげにいう幼子を見れば誰だって思うだろう?
ドキドキと俺のハートが脈打つ。
いつもならカッコよく決めるさ、だが、だがな。
小さくなっても相手はレディなんだ。
「...ありがとうレディ」
鏡もないし自分の顔を確認する事はできないが、左手で顔を隠しつつ右手でレディの頭を撫でた。
「カラちゃん?お顔赤いよ?お熱なの?」
「あ、あ、いや、ふむ、なんでも、なんでも...ないさ」
照れる顔なんて見せれるわけないだろう?
朝に誰かの為だけにお弁当を準備するなんて、初めてな事だったんだ。
感動しただなんて、言われたのは初めてだったんだ。
あぁ、全く。
大人になっても子どもになっても、レディにはかなわない。
少し落ち着いて、レディを見れば口の周りのソースに笑みをこぼす。
「レディ、口についてる」
前々から思っていたが、レディはご飯を食べるのが少々下手くそなようだ。
だがそれもまた可愛らしい、そんな夢中になって幸せそうに食べてくれるならいくらでも作ってやる。
そっとレディの口元のソースを拭ってから、指先をぺろっと舐めた。
「どうしたレディ?」
顔を赤く染めて、ぼやっと俺を見つめるレディ。
今俺はなにかしたろうか?
「なんでもない!なんでもないよ!」
ぶんぶんと一生懸命顔をふるものだから、絶対に何かしらあるんだろう。
レディは嘘が下手だな。
だが...
「そうか、ならいいんだが?」
目的地に着いてもいないのに、もうこんなに楽しいだなんてな。
オーシャンビューを見つめながら、2人で手を合わせた。
「「ごちそうさまでした」」