第25章 戦士の安らげる場所〜愛の逃避行、カラ松onrabu編〜
「どうして?」
予想外の言葉に俺は目をまんまるくする。
「カラちゃん、頑張って作ってきてくれたんでしょう?」
真っ直ぐに俺の目を見つめそう言ってくれる優しいレディ、あぁこんな幼くなってまで気を使わせているのか俺はと心の中でため息を一つ。
「その、いいんだレディ、無理に食べなくたって、初めからレディの食べたい物を聴けばよかったな?十四松みたいに」
考えすぎ、と言われればそうなのだろうか?
けれど嫌われたくないという思いは、心を弱くする。そして不安を連れてくる。
そして後ろめたさは、心を臆病にする。
「違うよカラちゃん、食べたくないんじゃなくて...」
その続きを言おうとして、しゅんとした顔でこちらを見つめるものだからズキズキと痛みだす俺のハート。
「...手伝ってあげれたらよかったのになって」
「手伝う?」
キョトンとレディを見つめてしまう。
言葉が予想外すぎて、いつものようにカッコよくいられない。
「どうして、そう思ったんだ?」
投げかける疑問に、レディは包みを見つめ直し、大事そうに自分の膝に置く。
「あのね、私この間チョロちゃんのお手伝いしたの。その時ね、とっても大変そうだったのに、チョロちゃんは頑張ってケーキ作ってくれた」
そっと包みを撫でるレディの髪が、海風に揺られ気持ちよさそうに泳いだ。
「だからね、きっとカラちゃんも大変だったろうなって考えたの。そしたら、手伝ってあげたかったなって思ったの」
相変わらず優しい子だ。
小さくてなっても優しい子なんだ。
「レディ、いいんだ、そんな事思わなくたって、俺がしたいからしたんだから」
本当にどうやって育てたらこんな優しい子になるんだろうな。
レディの頭を優しく撫でれば思う、この子の優しさにブラザー達は惹かれているんだろう。
大人の頃の記憶がなくとも滲み出る優しさに、守ってやりたいと思う心を動かすのだろうな。
「レディ、ありがとう」
「どうして?ありがとうは私だよ?」
頭を何度も撫でていた手をピタリと止めて、ふっと笑う。
「いや、どうしても言いたくなったのさ」
この小さな愛おしいレディに...な...