第25章 戦士の安らげる場所〜愛の逃避行、カラ松onrabu編〜
「そうだレディ、喉はかわいてないか?」
「ん?うん、少し」
あたりをキョロキョロと見回し、赤い自販機を見つけるとレディの手をひいてそちらへ向かう。
「レディ、何か飲みたいものはあるか?」
「んーとね?ミルクティー!」
レディはペットボトルのミルクティーを指さして笑う。この歳で紅茶とは、ふっ、大人な趣味だ。悪くない...
...しまった、レディは元々大人だ。
チャリンと自販機にお金を入れて、ばっと両手を高く広げる。
「よし、じゃあレディおいで」
俺の一言に、とととっと寄ってきてぎゅうっと肩を掴むレディを抱き上げる。くるりと後ろを向き、線路側を見ながら様子を伺う。
「レディ届くか?」
「大丈夫!」
ピッという音ともにガシャンと音を立てて自販機からミルクティーが落ちてくる。抱き上げる向きを変えて、レディを下ろそうとするが自販機がまだ音を立てていたので下ろすのを中断した。
ぴっぴっぴという機械音がなおも自販機から鳴り響いてる、どうやら当たりつきの自動販売機だったらしい。
四文字の数字が揃えば当たりらしく、6の文字が三つ並んだ。
「あっ!カラちゃん!リーチ!リーチだよ!リーチ!」
きゃっきゃっと嬉しそうにはしゃぐレディが、腕から落ちそうになるのを支える。
レディの笑顔のためにもこのまま当たってくれると嬉しいのだが...
ゴクリと唾を飲み込んで、次の数字が出るのを見守る。四文字目の数字が出た瞬間、二人してがっくりと肩をおろした。
「3かぁ、おしかったね」
「ああ、もう少しだったのにな...」
レディを下へ下ろして、ミルクティーを自販機から取り出す。
ペットボトルのキャップを右に回して、パキリと音をさせてからレディに渡した。
「レディ、熱いから気をつけて飲むんだぞ?」
とは言え、触った感じではちょうどよい温度だったので火傷はしないだろう。ニコリと笑えば、俺からミルクティーを受け取る。