第24章 戦士の安らげる場所〜麻雀牌は愛を語る編〜
あぁ、そうだ頭というのは雀頭(ジャントウ)とも言って三グループから外れる2つの牌の事だ。同じ牌を2つ使って、数字の牌でも漢字の牌でもどちらでもいいからこれを作らないと上がれないルールなんだ。
真剣勝負が繰り広げられる中で、コンコンと扉から音が鳴る。
「ふっ、誰だ?」
兄弟達の潰し合いを見守りながら声をかけると、ギイっと音がなり扉から小さな手が出てきた。
「...お兄ちゃん」
枕を片手に目を擦りながらやって来たのは、小さなレディだ。十四松が俺をフォローしてくれてからレディは俺に慣れてくれたみたいだ。
それにしても方向音痴のレディがよくここまで、あぁ、おそ松のバレッタのおかげか...?
「レディどうした?もう遅いぞ?」
時計を見ればすでに夜中の11時だ。子どもならもうとっくに寝ている時間だと思うが?
「眠れないの」
どうやら眠れなくてここまで来てしまったらしい、全く可愛いレディだ。
「なんかね、お部屋に透明人間がいるの」
「透明人間?」
ふむ?と首を傾げていたら俺の横に座り出すレディ。ぎゅうっと大きい枕を抱きしめる姿がなんとも可愛いらしい。
「透明人間がね、ずっとこっちを見てるの」
不安そうな顔でそういうものだから、俺はゆっくりとレディの頭に手を乗せた。
「大丈夫だ、もしレディに何かあったら俺が守るぞ?」
すっかり白熱している麻雀のせいか、みんなそちらに集中しているのをいいことにこっそりと約束する。
「ありがとう...えと」
「カラ松だ、レディ」
じいっと大きな瞳が俺をうつした後に、細くなって俺が見えなくなる。
「うん、カラちゃん」
!!!?!
カラちゃん!?
「れ、レレレレディ、その、呼び方はその」
「いや...だった?」
何故か顔が熱くなってくる。
なんとゆうか、心がくすぐったがっている。
「いや、なんだか嬉しいぞ?」
ほわんと胸を暖かくしながら、ポンポンと膝を叩く。
「レディ、特別だ!今宵は俺の膝を貸してやろうじゃないか!」
「いいの?」
「もちろんだとも!」
俺の膝の横に枕を敷き始めるレディ、遠慮しているのかわからないが健気な行動に胸を打たれる。
「レディ、膝においで」
「でも、カラちゃんしんどくなるもん」
仕方ない子だ。
子どもになっても、甘えるのは少々苦手らしい。