第23章 3時のおやつは愛をこめて
「あ、あったあった...うわぁ...」
ミルフィーユのページを見て、僕は愕然とした。
五段階評価の難しさ5って、なにそれ。
こんなの手伝えるわけが無い、いや出来たとして足を引っ張るのが関の山というか、そもそもこの課程が凄いっていうかあれだよね、もうひっくるめていうと初めてでとか無理っぽくない?
パンイチでにゃーちゃんのライブ行く並だよね。
絶対そんなこと死んでもしないけど、いやむしろそんな事するくらいなら切腹して霊体になって見に行くけど、いや寧ろ蔑んだ目で見てもらえるかも
それはそれでいいかもしれな...
じゃなくて!
肩を落とす、これで何回肩落としたとかもう数えてらんない。
でも一応全部ささっと目を通してみれば、あることに気づく。
「あれ、カスタードの作り方は別のページなんだ」
パイを作る長い長い課程の中に、カスタードクリームの作り方が載っていない。
カスタードクリームは別表記と青色で書かれた文字と、ページを頼りに本をめくる。
「ふーん、これか」
五段階評価の星2つが可愛くみえるんだけど、これってさっきのミルフィーユの反動?
なんて思いながらも黙々とページを舐めまわすように見つめる。
なるほど、あれがああなってこうなってとブツブツとひとり言を唱え始める。
それにしてもカスタードって結構卵使うんだな、贅沢なクリームだ。
まぁ、僕はそこまで甘いものがとびきり好きって訳じゃないけど
こんな手間ひまをかけてお菓子が作られてるんだななんて思ったら、ちょっとお菓子の格が上がった気がする。
2、3ページに渡って表記されているカスタードクリームの作り方を1通り見た後に、ふと鈴音ちゃんの方を見る。
真剣な顔してパイ生地を作る姿に、とくんと胸がなる。
女の子が一生懸命何かしてる姿っていいよね。
それも自分達の為にしてくれてるんだなんて考えたら、心臓が爆発して昇天して天国に行けちゃいそうだよ。