第23章 3時のおやつは愛をこめて
「いーじゃんか、好き嫌いの一つや二つ、そんな小さな問題」
「ダメ!」
頑として譲らない僕と、カラカラ笑う馬鹿。
「ほら、ちゃんと食べなさい!」
僕が少し厳しめに言うと、ポロッとおっきいクリクリの瞳から涙が出る。
「ふぅ、おじちゃんなんて、おじちゃんなんて、嫌いい!!」
そういったと同時に鈴音ちゃんがイスから飛び降りて走っていってしまった。
「「あーーーー!!!泣かした!」」
おっきい声でそう言ったのは僕以外全員。
「お前酷いやつだな、小さい子を泣かすなんてさ、しかも女の子」
やれやれとといいながら、ため息をつくのはおそ松。
グサリと刺さる矢、でもこれはほんの序の口だ。
「極悪非道ってやつだね、ほんとにサイテーだね!チョロ松兄さん!」
にっこにっこ笑いながら、グサグサっとささる言葉のナイフを投げるのは、末弟である。
でもさ、そんなことなんかよりずっとずっと胸が痛くて張り裂けそうなんだけど...
「すずちゃん泣いてたけど、大丈夫かなぁ?」
フォークに刺さった星型の人参を、大きな口でモグモグと食べながら心配そうな顔をするのは十四松だ。
泣かせた、鈴音ちゃんを、僕が...
がっくりと肩を落しながら空になったお皿を見つめる。今のお皿の上みたいに頭の中が真っ白だ。
嫌われた。
だってさ、嫌われたんだよ。
「ふっ、イヤもイヤおもすきの...」
「黙って、この世にいるのは良い子だけにするぞ」
僕の一言で黙るカラ松をスルーして、はあっと重いため息を一つ。
たとえ幼くなったって鈴音ちゃんは鈴音ちゃんだ。
僕の大好きな鈴音ちゃん。
だからこそかな?
あのまま甘やかしてちゃダメだって思ったんだ。
鈴音ちゃんのために、思ったことだったけど...
よく考えてみれば鈴音ちゃんもともと大人なんだし
元に戻ったらなんの意味も無いのに、本当僕って馬鹿....