第23章 3時のおやつは愛をこめて
全員がデレデレしてる中で、深くため息をつく。
こいつらを完全否定出来ない自分が情けない。
「ごちそうさまでしたー!」
小さな両手を合わせてきちんとあいさつをする。
「口に薔薇が咲いてるぞ?ふっ、仕方の無いレディだ」
イッタイ発言をしつつ、口を拭き始めるカラ松。
横で鈴音ちゃんのオムライスに刺さってた、松印の旗とお揃いのでっかい旗で素振りする十四松。
いつもと同じだけど同じじゃない
どいつもこいつも腑抜けばっかりか!
頭をかかえながら、ふと鈴音ちゃんのお皿の中に目がいく。
ご飯粒の一つも残っていないお皿の片すみに、ポツンと寂しげに星型の人参が残されていた。
「すずちゃん、お星様が残ってるよー?」
「え、あう...こ、れはうさぎさんにあげるの」
目を左右に泳がせながら、そう言った鈴音ちゃん。
どうやら幼い鈴音ちゃんは人参が嫌いらしい。
「うさぎさんにあげるの?おそ松兄さんにあげるって」
ニコッと笑いながらトド松がおそ松を呼ぶ。
あー、ナチュラルに食べさせる作戦ね。ここでおそ松がお腹いっぱいとか言ったらかんぺ...
「マジで?!んじゃ鈴音ちゃん、俺にあーんってしてくれる?」
「うん!」
馬鹿だけど、馬鹿だったー!!
クソ長男!それじゃ本末転倒だろうが!
自分の横に置かれた松印のフォークで、人参をさす鈴音ちゃん。
「あーん」
ニコニコと可愛い笑顔で、馬鹿長男の口の中に人参を持っていく。それにこたえようと、鈴音ちゃんの横にしゃがんであーんと口を開ける馬鹿。
「ちょっと待って!」
いてもたってもいられなくて、僕はその行動を止めた。
口を開けたままで、止まる馬鹿とキョトンとする鈴音ちゃん。
「鈴音ちゃん!好き嫌いはダメだよ?人参はベータカロテンとか色んな栄養があるから、食べなきゃダメ」
僕の一言に鈴音ちゃんから笑顔が消えた。
「いい所で止めんなよー!なーに?チョロちゃん?チョロちゃんもあーんして欲しいの?」
「違うわ!僕はそれは良くない事っていってんの!」