第23章 3時のおやつは愛をこめて
そんなこんなしてたら、お腹の虫がぐーっと音を立てる。
「お腹空いた」
しょぼくれる鈴音ちゃんの目線の先に置かれる、黄色い物体。
「オムライス!」
目をキラキラさせながら、可愛いサイズのオムライスに嬉しそうに反応する。
「あれ?いつの間に?」
僕が首を傾げると、サッと横に現れるのは僕らの母さんであり、松野家筆頭メイドの松代だ。
「松代たるもの、いついかなる時でも鈴音ちゃ...じゃない松坊ちゃんを見守っていますとも」
ねぇ、今実の母が確実に間違えたよね。
何かを間違えたよね。
「はい、鈴音ちゃん」
そう言って椅子をひくトド松、すかさず抱き上げてそこに座らせるおそ松。こんな時に兄弟間の好プレーを見せるな!
「うわぁぁ!旗ついてる!ふふ!」
鈴音ちゃんが嬉しそうに笑顔を見せる度に、古臭い洋館な感じにしていたつもりの食堂が明るく照らされていく。
本当にこんなほのぼのにしちゃっていいの!?僕らヴァンパイアだよ!
「こんな、ほのぼのしてていいの!?僕ら誇り高くて恐れられてるヴァンパイアだよ!?」
僕の必死の訴えに、みんな耳を傾けようとしない。
それどころか、みんなを束ねるべき長男がとんでもない事を言う。
「なにまたライジングしてんだよシコ松、あの笑顔を見なよ?俺らヴァンパイアじゃないだろ?ただの保護者松だろ?」
「シコ松っていうな!とゆうか保護者松ってなんだ!」
ダメだよ!どいつもこいつもこれじゃあ牙を抜かれた馬鹿じゃんか!
ヴァンパイアから牙取ったら何が残るっていうの?
プライドも何もかも忘れてどうすんの!
「そうよ、チョロ松。私達はヴァンパイアでもなんでもないわ、ただの松代おばあちゃんよ」
母さんまで!頭を抱える僕の目線の先には、オムライスをスプーンで頬張りながらニコニコしてる天使が1人。
「んー!美味しい!」
口元にケチャップをつけながら、こっちみて笑ってる。あんなに嬉しそうに、たかだかオムライス一つで
どうしてあんな可愛すぎる笑顔をこぼせるの?
なんだって、こんな可愛い格好をさせたの?
なんだって、オムライスに旗をつけたの?
なんだって、オムライスのビジュアルがコリにこったお子様ランチ風なの?
あぁ!もう!
僕らはどうすればいいのぉぉぉ!