第23章 3時のおやつは愛をこめて
「で、結局誰にも心当たりがないと...?」
呆れつつもう一度鈴音ちゃんを見る。
「おじちゃん、私重いから降ろしていいよ?」
ぐっは!
なにこの破壊力!ライジングするわ!
「ぜーんぜん、重くないよ?」
デレデレしながら言ったら、そう?って小首傾げちゃってもう!可愛い!やることなす事全てが可愛い!
「ねぇ、あそこの人はどうして顔を隠してるの?」
じっと一松の方を見ながら鈴音ちゃんは、また小首を傾げる。
小さい子って不思議がるとなんでもかんでも、どうしてって聴くけど、今回の質問には僕も答えられそうにない。
「あー、あの人はね、恥ずかしがり屋なんだよ」
ニコッと笑っていち早く答えるのは、トド松だ。
何の違和感もない答えに、そうなの?って可愛い声。
違和感ないけど、僕には違和感でしかない。
トド松が助け船出すとか気持ち悪!
なに企んでんのかわかったもんじゃない。
「だから鈴音ちゃんは、僕と遊ぼうね?」
目をうるうるさせながら、両手を差し出す。
あざと、どんだけあざといのこいつって目的やっぱりそっちかよ!
「白うさぎさん?」
ポツリと鈴音ちゃんが言った言葉に、トド松はなんの違和感もなくそうだよって笑った。
「うさぎさん!」
そう言ってジタバタしだす鈴音ちゃんを、そっと床に降ろした。
小さな歩幅を進めて、キラキラした笑みを浮べながらトド松の服の裾を握り締める。
何あれ、ずるい。
なんて思ってたらひょいっと鈴音ちゃんを抱き上げて、こちらを見て勝ち誇った顔してやがる!
「んっふふ、かーわいーねー」
騙されちゃダメだ鈴音ちゃん!
こいつはうさぎみたいに可愛いもんじゃない!
まぁ実物のうさぎならおおいにあるけどさ。
寂しがり屋だとか言われてるけど、あいつらそんな事ないからね。なんなら縄張り争いで殺し合いしたりするし、1年中メス追いかけてるし、可愛いなんて言われてるけど実際無表情だし、うん〇食べるし、スタンピング(うさぎが威嚇したりするときに鳴らす音)した時なんて、くっそうるさいからね。
おまけに鳴き声はぶーっ!っていうし