第22章 ラストダンスは猫の手をかりて
「あっああっ...」
切ない声が耳に響いて、それがオレを掻き立てる。
止まれない衝動と行為
顔がみたくて、指の動きを優しくすれば漏れる吐息は少し落ち着きをみせる。
目に映るのは、オレに溺れて泣きそうな可愛い鈴音
「ひひ、蕩けた顔、イケナイ子だね」
そんな台詞言ってみるけど、本当にイケナイのはオレ
黒いタキシードの下で、ムクムクと湧き上がる欲を必死におさえる。
犯したい
今すぐ、ここで
密口へ指を入れて、肉壁を引っ掛けば小さく漏れる声
ここに入れたんだ、オレのを...
熱くてびしょびしょの密口、中へ指を進めるほど熱さで溶けてしまいそうになる。
蕩け出す液と、初めてを奪った証が混ざった蜜を思い出す。
その味は甘美でそれでいて悲しくて、貪らずにはいられない味。
抱き締めててよかった、バレないですむから。
熱くなる両目、今のオレはきっとバケモノみたいな目をしてる。
自分の口の中で涎が湧き出る。
さっきの血だけじゃ足らないし、もっと貪りたい
血も鈴音も全部全部
オレはどんなに取り繕ったってヴァンパイアで
鈴音は、人間
捕食する側とされる側
それなのに
「いち...ま...」
切なげにオレを呼ぶ声が、愛しくて愛しくて
たまんねぇ
「ほら、イケよ...僕ので」
密口から指を抜いて、秘豆をひっかけば声が大きく響く
「あっあんんっんぐっっ」
誰にも見せたくない、鈴音のこんな姿を
誰にも聞かせたくない、こんな可愛い声を
その想いを、行動にうつせば肩が鈴音の吐息で熱くなる。
この行為を眺めてる月でさえも疎ましい
どこにぶつけていいかわからない嫉妬心を、届かない月にまでぶつけて馬鹿みたい。
「んんっ、イっんんっ」
微かに聴こえる可愛い予告に、ニヤリと口角をあげて指を速くする。
「んんんんんんんっぅ!」
ビクビクと震える身体を片手で強く抱き締める。
はぁはぁと苦しそうに吐く息が夜に響く。
「鈴音?」
名前を呼んでも返事がない。
どうやら失神してしまったみたい。
それをいい事にそっと囁く
「好きだよ...誰よりも鈴音が...」
言葉と同時に鈴音がどこにも行かないように、両手でぎゅうっと抱きしめた。