第22章 ラストダンスは猫の手をかりて
月明かりが恥ずかしい。
猫の手がいつの間にか、下着に手をかけするすると音も無く脱がしてゆく。
「魚は黙って猫に食べられなよ」
一松くんの言葉が脳に響けば、冷たい指先が媚唇に触れる。
「あっ...」
漏れる声、触れられた瞬間、自分の中からじわじわとあふれる液体。
「ねぇ?なんでこんなに濡れてるの?キスしただけなのに」
低い低い声がじわりじわりと耳を犯す。抱きしめられた状態でゆっくりと指が動き出す。
薄くて透明な袋に詰まった水、1箇所、猫の鋭い爪で引っかかれて穴が開く。
そこから漏れ出す水は、数滴、でも...
漏れ出せば漏れ出す程に、穴は大きく広がって、流れだす水は倍になる。
それは必然
「やあっ!あっあぁぁ!んっぐぅ...」
それと同じように、薄膚をゆっくりとあけて、私の弱い所を一松くんは的確に引っかく。びくりびくりと震える腰、たった1本の冷たい指先が、私を快楽へと突き落とす。
穴の空いた袋みたいに、漏れ出す液は多くなる。
「...鈴音、声おさえて」
掠れた声、早い吐息を感じながら
一松くんの肩に口元を埋めて、声をおさえる。
顔が見れないのに、痛いほど伝わる想い。
やめてと懇願することさえできないほどに、攻め立てられれば頭は真っ白。
「んんっ、あっ、んふぅ...」
初めは優しく、次第に速くなっていく一松くんの指
蕩け出す液は、一松くんの指をイヤらしく濡らして、クチュクチュと音をたてる。
息が苦しくて、一松くんの肩から口を離せば声が漏れる。
夜の闇に響く声、おさえたくてもおさえられない、もしかしたら誰かが聞いているかもしれない。
私が一松くんに溺れている声を...
それなのに、そんなことどうでもよくなってきてしまうほどに気持ちいい。
「ひひ、蕩けた顔、イケナイ子だね」
イヤらしく笑う猫。
食べられそうになっているのはわかってる。
でも、逃げられそうもない...
顔は見えないけど、きっと笑ってる。
だって声が楽しそうで、それと同時に私を攻め立てる指の動きが速さを増しているから。