第22章 ラストダンスは猫の手をかりて
唇を首筋から離して見つめた瞳。
泣きそうな瞼にそっとキスをする。
「一松...」
あぁ、もうそんな顔しないで
もっと欲しくなるから
そう想うのは、自分の涙を隠すため?
それとも本能のせい?
どっちにしろ、本当にオレってクズ
「ねぇ、それ誘ってんの?」
忍ばせる手は、フィッシュテールドレスのせいで無防備にさらけ出されてる足
つうっと内股を撫でて、じっと鈴音を見れば、頬を赤くして利き手で顔を隠す。
ビクンと震える身体がオレを誘う。
「ねぇ、なんでフィッシュテールにしたかわかる?」
にやっと浮べるのは危険な微笑み。
クズもここまできたら、有害だね。
そのクズさにもう笑いしか出てこない
口ごもる鈴音の足を撫でる。
内股からゆっくりゆっくりと核心へと近づく。
その度、声が出そうなのを必死におさえる顔が、たまらない気持ちになる。
「わかんない」
やっと聴こえた声は吐息混じりで色っぽい、ほんとイケナイ子になったね。
「鈴音さ、オレのこと猫みたいって言ったの覚えてる?」
その問いかけにこくんと頷く、それと同時にあがる口角。
「魚は猫の好物だから」
そっと耳元で囁けば、大きく身体が跳ねる。
可愛い魚が尾ビレをおよがせて、オレを誘う。
紫と黒の尾ビレの先に手を忍ばせて、ニタリと笑う。
暖かい体温が、オレの手にじんわりと染みる。
「まっ...ここ、外...」
口答えする口を唇で塞ぐ。何回キスしたんだろうね、それでも足りない。
逃げようとする頭を抑えて、片方の手は下着に指をかける。
...甘い、あぁ、血の味と混ざってる。
鈴音の血の味と、唾液が混ざって、甘くて甘くて酔いそう。
こんなに美味しいとか、もはや罪に近いよね。
唇をぺろりと舐めれば、柔らかい感触。
ゾクゾクと背中が粟立つ。
慈しんでいたはずのものを貪るとか、本当にオレってクズ...
「んっふぅ、いちま...」
でも、そんなイケナイ子に育ってしまった鈴音が悪い。可愛いアリスが美味しい魚になったなんて、どこのおとぎ話?
そんなのチャシャ猫にとって、我慢できるはずなんてないよね。
「魚は黙って猫に食べられなよ」