第21章 ハロウィンの夜は危険がいっぱい?
「その臭い口を閉じろや、クズが」
九本の尻尾が逆立つ。
ニコリと微笑みながら、男の頭につめたい銃口を突きつける。
いつものおふざけではない、本気の殺意だ。
「スミス&ウエッソンM19コンバットマグナムですな?いやいや良い趣味をお持ちだ」
そう言って笑いながら、両手をあげる男。
「そう言えば、自己紹介がまだでしたな?私の名前は東郷、東郷といいます。以後お見知り置きを...鈴音殿?」
その一言に私は眉をしかめた。
この男、どうして私の名前をいともたやすく言い当てることができたの?
銃を握っていない手でそっと喉元を触れる、今も尚自分が男であることがわかる凹凸
ごくんと唾を飲み込めば、凹凸がゆっくりと上下に動く。
このパーティー中に名前を名乗ったことは、一度たりともない。
だとするなら、私のことを以前から知っていたという事になる。そうだったとして、今の私は間違えなく男だ。見分けがつくはずがない。
「おや?不思議そうな顔をしてどうなされましたか?ご気分がすぐれないのですかな?」
ニヤリと一瞬だけ笑った顔に悪寒がはしる。
こいつたぶんヤバイやつだ。
警笛を鳴らすのは本能、直感。
そしてそういう直感ほど当たるから嫌になってくる。
「銃を下ろして下さいませんかな?これではまるで私が悪いようではありませんか?」
「充分悪いだろうが、今の言葉を取り消して詫びても償えると思うな。クソ野郎」
「全く、品のない言葉づかいだ。メイド1人きちんと教育できていないのだから松野家も堕ちたものですな」
やれやれと首をふり、ため息をついたその瞬間に、鋭い殺気が背筋を凍りつかせた。
それに気づいた瞬間、銀色の光が目の前を交差する。
何が起こったのか全くわからない。
頬にピリッとした痛みが走り、締め付けられる感覚がなくなった。
床に散らばるのは黒
元の原型をとどめていない布は、哀れにもヒラヒラ落ち床を汚す。
「おっと、頬に掠ってしまいましたね。私としたことが、腕が鈍ったのかな?」
露になった素肌を片手で隠しながら、睨みつける。
「ちっ、ゲスな趣味だなオッサン、男の裸がそんなに嬉しいか?」