第21章 ハロウィンの夜は危険がいっぱい?
顔を真っ赤にして、真っ直ぐ鈴音ちゃんだけを見つめてる一松兄さん。
その横にいるトッティの肩越しから、僕はおっきい口をパカッと開けたまま、目の前の光景をぼんやりと見てた!
チョロ松兄さんのバイオリンの音が、耳を虜にして鈴音ちゃんとアザゼルのダンスが目を虜にしてて、すっげーとしか言えない。
「十四松兄さんが、大人しいなんて珍しいね?」
ぽそっと小さい声で不思議そうにトッティがそう言ってきたけど、僕にとって不思議なのは
「トッティこそ、鈴音ちゃんのこと手伝ったんだよね?僕そっちのほうが不思議ー!」
そしたら、なんのことって首を傾げる。
本当はね!トッティがずっとずっと悩んでたの、僕知ってたんだ!
鈴音ちゃんと二人で話してた日から、ずっとしょんぼりしてて
お茶の時とか、お菓子全然食べなかったり。それなのにね、鈴音ちゃんが作ったお菓子は絶対に全部食べるんだよ?
本人は気づいてたのかはわかんないけど、トッティにとって鈴音ちゃんは特別なのかもしれないね。
だから、トッティが鈴音ちゃんのお手伝いをしたって聞いたとき僕すっごく嬉しかったんだ!
「仲直りできたんだ!」
「...うん」
ちょっぴり嬉しそうに微笑んでいるトッティ
「えらいえらいっすな!」
僕がトッティの頭を優しく撫でると、トッティはほんのり頬を染めて照れくさそうにえへへって笑った。
「十四松兄さん、僕のお願いちょっと聞いてくれる?」
こしょこしょと耳元で話されて、ちょっぴり耳がくすぐっタイムリー!
「そんなのおやすいごようあらため!」
パチんと指を鳴らす。
フワリフワリと現れるのは、小さなジャックオランタン!
それに気づいたのか、パチんと指を鳴らすのは一松兄さんだ。その指の音に合わせて、少しずつ薄暗くなる昭明。
僕の作り出したジャックオランタンが、空中を飛び交い鈴音ちゃんとアザゼルを包む。
オレンジの光が二人をより幻想的にみせる。
「こんなもんすか?」
「...こんなもん?」
僕と一松兄さんが二人同時に声を合わせてそう言ったら、トッティが二人にしては完璧と言って笑った。