第21章 ハロウィンの夜は危険がいっぱい?
美しい....
そっとバイオリンに顎をつけ、鈴音ちゃんとアザゼルを横目で見ていた。
このままでは演奏しにくいと感じ、F6化を解く。
滑らすようにゆっくりと、バイオリンの弦に指を乗せる。
見つめあった瞳と瞳を思い出すと体が震えるた。
僕は男になった鈴音ちゃんにさえも、こんなに心を揺さぶられるんだよ。もうすでに心底惚れてしまってて恥ずかしい。
ちらっとみれば、九本の白い尻尾と尖った耳がピクピクと動いている。
正直な話、男でよかったと思った。
何故?そんなの決まってる....
だってさー、女の子だよー!?
狐の女の子!!けも耳だよ?萌えの象徴だよ?そんな可愛い物をつけた鈴音ちゃんだよ!?
尻尾とかフリフリして、耳をピクンピクンして、その尻尾とか耳に触れたら「チョロ松くんくすぐったいよ」だとか「触っちゃダメ、敏感だから」とか赤く染まった頬とか潤んだ瞳なんかで言われたりしたら....
んんんっんんーーー!!さいっこう!さいっこうだよ!何それ!?犯罪!?可愛すぎの罪だよ!シリアスとかもうどうでもいいよ!パーティー!?頭の中がもうレッツパーティーだよ!ひゃっふーーー!!
鈴音ちゃん!超絶可愛いよ鈴音ちゃん!!
可愛すぎ、もう普通に好き、普通とか通り越して超絶好き!なにこれ!あれなの!?僕のこと殺しにかかってるの!?
全然いいよ!それで死ねるならむしろ本望だよ!なんだったら、灰になっても全然いい!
なんて心の内をそっとしまう。
危ない、この場でそんなとこ出したら場の雰囲気が一気に凍りつきかねない。
でも....
あのふあふあの尻尾が、僕の心を揺さぶる。
はぁーん可愛い、もう男でもこの際....
いや、いやいやダメ、それはダメ!
流石に、でもあれは鈴音ちゃんだしな。僕の好きな人に変わりはないし、でもでもなぁ....
バイオリンを弾こうとする傍ら、松野チョロ松の葛藤は続く。