• テキストサイズ

【おそ松さん】月下に咲くは六色の花

第21章 ハロウィンの夜は危険がいっぱい?



「ま、待ってください、私は故意にしたつもりはありません!」

そっと女の子を床に寝かせて、チョロ松くんと同じ目線になる。

近くで見ると本当にイケメンだ、なにこれチートか何かじゃないの?

「故意ではないなら尚更たちが悪いです」

くいっと長くて白くて細い、美しい人差し指で眼鏡をあげながらそう言われた。

「私は一つの目的のためにここに来ました。変な言いがかりはよして頂きたい」

こちらも負けじとじっとチョロ松くんの瞳を見つめる。重い沈黙の中、意外な発言をしたのはチョロ松くんだ。

「....その、瞳.... 」

眼鏡の奥で、チョロ松くんの瞳がかすかに揺れる。

「僕の、愛しい人に....似ている....? 」

じっと見つめられる瞳。
どんなに姿、形が変わったとしても、チョロ松くんという人、いやヴァンパイアはかわらない。

「それに....... 美しい黒髪...? 」

ハッとしたように、目を丸くするチョロ松くん。今ここで正体をばらされる訳にはいかない。

何故ならば先程二人の戦いのすぐ近くに、私の目的である相手がそこにいたからだ。

チョロ松くんが口を開く前に、私が先に言葉を並べる。

「チョロ松様、私は今宵ただの一匹の狐....
そして私は、一人の女の子の為に来たのです。
どうか、その次の言葉は胸にお秘め下さい」

見つめあう瞳と瞳
たとえ二人の姿が違っていても....

貴方はいつもそう、私の話を聴くときは私の瞳をじっと見つめる。

「なるほど、わかりました。ですが僕もこのままで引き下がることはできません」

パチんと指を鳴らすチョロ松くん。
美しい手の中には、バイオリンが握られていた。

「どうぞ僕に、一曲弾かせて頂けませんか?その女の子と貴方の為に....」

「なんとお礼を申せばよいのか、貴方のその深き心遣いに感謝いたします.... 」

嬉しい申し出にふわりと微笑みを溢せば、チョロ松くんの頬が少し赤く色づいた。

チョロ松くんに深くお辞儀をした後で、目的の人物のもとへと向かう。
/ 682ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp