第21章 ハロウィンの夜は危険がいっぱい?
それにしても....
なんでだか顔が赤いのが気になるんだけど、熱でもあるんだろうか。
おそ松はおそ松で、ぽかーんと口を大きく開けて間抜けヅラしてるし。
おっ、トド松くんと色違いのお揃いだな。
ということは、ほかの松坊っちゃん達も全員お揃いってわけか。
この兄弟仲がいいよね、本当に。
そんなことを考えながら、少し黙っていたけれど何故だか変な沈黙が続いていて居心地が悪くなってきた。
もしかしたら、受け止めたのが不味かったのかもしれない。今男だし、相手女性だし、ヴァンパイアとはいえね。
でもだからといって、転びそうになってる人、しかも女性を無視するわけにもいかなかったし、不慮の事故と言うかなんと言うか。
ともかく、この床は酷いな。
これじゃあまたいつ滑るかわかったもんじゃない。
ちらっと女の人を足元を見れば、綺麗な赤色のヒールをはいている。これ、気を付けないとまた転ぶだろうな。
「どうか、気を付けてください。滑っては大変です。」
思ったことをそのまま伝えれば、何故だかダンスに誘われてしまった。
お誘いは嬉しくないこともないけど、予期せぬ事態だ。
どうしたもんかと悩みながら思ったことを口にする。
「すみません、先約があるんです。」
そう、私がこの姿になったのは一人の女の子の為だ。
そう思い断れば、尋ねられるのは名前。
名前、ね、名乗っていいものかと考えてみる。相手はヴァンパイア、名前くらいならとも思ったけどなにかしらの面倒に巻き込まれるのはごめんだしな....
とりあえず秘密にしておこう。
なんとなく人差し指を自分の唇に引き寄せて、しーっというポーズをとる。
とくに意識もなにもしていない。
「....秘密、です。それでは失礼します。」
にこりと口元に微笑みを灯した後に、おそ松の横をすり抜ける。
相変わらず口を開いたポカンとした顔に、思わず笑いそうになるのを必死に押さえた。