第21章 ハロウィンの夜は危険がいっぱい?
「うんまぁぁあい!!!」
口の中いっぱいにマカロンを放り込んだ十四松が、満面の笑みをしている。
「....わかるけど、それ詰め込みすぎだから」
オレは紫イモのマカロンを持ったまま、呆れてツッこむ。
「んむんむ、このオレンジの酸味とチョコが混ざってたまりまへんで!一松にーさん!」
オレンジとラズベリーと抹茶とチョコとバニラのマカロンを同時に放り込んで、どうして味の違いがわかるんだろう。
....まぁ、十四松だからか
そんなことを考えていたら、ピタリと十四松の口の動きが止まる。
「んむ...!!やきうの匂いがする!」
何、やきうの匂いって?
そんなことを思いながら、十四松の指差してる方を見れば、すぐ近くに白い耳と尻尾の狐が見えた。
「あれ?あれからやきうの匂いすんの?」
「うん!すんごおぉい!いーにおい!」
そもそもやきうの匂いってどんななんだ、赤土の匂いでもするのか?
そんなことを思いながら空気を吸い込む。
....いや赤土の匂いはしない。
かわりに物凄く不愉快な匂いがする。
あまりに不愉快だった為に、思わず顔をしかめた。
「....鈴音の匂い」
そいつから鈴音の甘い甘い香りが香ってくる。
「えーー!?やきうの匂いだよ?!絶対やきう!」
十四松はそういうけど、絶対に違う。
「いや、鈴音の匂い」
オレが鈴音の匂いを間違うはずはない。絶対にだ。
そういえばさっきから鈴音の姿は見当たらないし。
あの野郎鈴音になんかしやがったな....
「十四松、あいつが何て言ってるか聞こえる?」
「んーー?....なんかねートッティのメイドさんをダンスに誘ってるみたーい」
....チャラい
ま、まさか鈴音もそいつの毒牙に!?
「十四松、あそこの男、ちょっと殺ってきてくんない?」
「え?!なんでなんで!?やきうの匂いすんのに!?」
「お前がしないならオレが刺し殺してくる。 たとえ刺し違えても」
鈴音に何かする奴は絶対に許さない....