第21章 ハロウィンの夜は危険がいっぱい?
ビキビキビキと危ない音がした。
その音の先は、トト子ちゃんの拳が振り下ろされた壁からだ。
「ねぇねぇおそ松くん、私ね、お前ら馬鹿で変態●●●で□□□と何百年もお付き合いしてるよね?それですまされると思う?」
にーーっこり笑ってそう言われた。
ひびの入った壁、これ修理しなきゃダメだな。寿命か、内装変えて一日しかたってないけど。
あんまりビックリして変身がとけちゃったよー。
「もう、とりあえず早く片付けてもらっ.... !」
一歩を踏み出そうとしたが、血で滑って転びそうになるトト子ちゃん。
危ない!そう思って、手を伸ばした瞬間だった。
「危ない!」
俺が言おうとした台詞が、俺以外の声で聞こえたかと思うと、トト子ちゃんは誰かの胸の中におさまった。
「....平気ですか?」
「あっ、え、あ、ありが....!!」
トト子ちゃんと俺はその姿を見て、二人して固まった。
「....そうですか、よかった」
ニコリと柔らかに笑う顔が、言葉を失ってしまうほど美しすぎたからだ。
尖った白い耳に、ふあふあの尻尾が九本揺れている。
その端正な顔立ちときたら、誰もが釘付けになるだろう。
「どうか、気を付けてください。滑っては大変です。」
低く品のある美しい声が、この狐がいかに美しくとも男であることを示す。
「わ、わわ私とダンスを!」
えええ!?トト子ちゃん!俺!俺の立場は!?
トト子ちゃんの一言に困ったような顔をし、すみません、先約があるんですと言った顔さえも美しすぎた。
てかトト子ちゃん断るとか、こいつなんなの!?
「じゃ、じゃあせめて!お、おお、お名前を!」
にこり微笑んで人差し指をそうっと自分自身の唇に当てる。
「....秘密、です。それでは失礼します。」
男の俺でもドギマギするんだけど、いや男だよ!相手男だから!俺そっちの趣味ないからね!?
颯爽と俺達の横をさえぎった瞬間、純白の耳と尻尾と正反対の、長く美しい黒髪から言葉では表せないほどのいい匂いが鼻孔を駆け抜けた。
ちらっとトト子ちゃんを見れば、目がハートマークで鼻血がたらりとでてた。
いやだから!俺の立場は!?
そんでもってあいつ誰なの!?!